重大過失ニュース

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2012 [2012年12月19日 23時00分]
コーヒーに関する2012年の重大ニュースが発表された…手盛り八杯、コーヒー十杯?
  《社団法人全日本コーヒー協会は、毎年業界の重大ニュースを発表しております。》
   (2012年12月18日発表:社団法人全日本コーヒー協会Webサイト)
AJCA(全日本コーヒー協会)の選定は、故意とは思えなくとも重大な過失ばかりである。
 
1.国際コーヒー相場、ブラジルの増産とレアル安で一服。消費拡大に追い風。
 
  相場は国際事情だが、《消費拡大に追い風》というのは日本国内市場に向けてか?
  とすれば、1980年代から年次の価格推移を円換算で見てみると違う風景だ(※)。
 
2.飲用シーン多様化し、家庭用コーヒーマシンやスティックコーヒーなど一杯取り
  コーヒー増加傾向。
 
  マシンは先行のグストやバリスタに続きペリカやダイレクトサーブの発売によるか?
  スティックは伸張しているが全インスタント製品の約6分の1、缶コーヒー市場の約
  25分の1の市場規模でしかない。《飲用シーン》を《多様化》したいという「願望」だ。
 
3.「10月1日コーヒーの日」に新聞広告で「コーヒー3R宣言(Rest,Relaxation,
  Recreation)」。コーヒーと健康の認知度高まる。
 
  循環型社会形成推進基本法による「3R政策」に倣ったつもりか?「休憩」と「癒し」
  と「活性化」を意味させているが、それをして《コーヒーと健康の認知度高まる》とは
  コジツケにすぎない。AJCAには「不活」と「弛緩」と「憂さ晴らし」の意訳が似合う。
 
4.全協自主検査の努力が実り、厚生労働省がエチオピア産コーヒー生豆に対する
  検査命令措置を5年ぶりに解除。
 
  解除が遅れた2011年の違反事例がAJCA非会員(アウトサイダー)の輸入による
  ので《全協自主検査の努力が実り》と言いたいのか?実際は、エチオピアに「オレ
  知らね」と言われ、ヨーロッパに「騒ぐなバカ」と言われ…ガバナンスの不足である。
 
5.FNC東京事務所開設50周年記念式典。太田全協会長にマヌエル・メヒア・
  コーヒー功労章。
 
  FNCは1976年以来、UCCと三菱商事の各3人、AGFとキーとアートとキャピタルの
  各1人に功労章を贈り、企業向けに贈るところが無くなり太田敬二会長へ贈った?
  だが、同時にエメマン功労によって日本コカコーラにも贈ったことは内緒にしたいか。
 
6.全協がコーヒー生産国などの支援に充てるため国際コーヒー機関に3万ポンド
  拠出を表明。
 
  AJCAがコーヒー生産国などの支援に充てるためICOに1コンテナに満たない量の
  拠出を表明、ということか?日本のコーヒー生豆輸入量の約3万分の1でしかない。
 
7.日本インスタントコーヒー協会が11月最終週を「インスタントコーヒー週間」
  として制定。あわせて第一回インスタントコーヒー大使を任命。
 
  理由も意義も不明だが、インスタントコーヒーだからこそ手を抜いて突然に制定か?
  2011年の「ラテ研」(ネスレ)でも使えないメンバーだった城田優、同じく潰しが利か
  ない皆藤愛子、人選もインスタントであろうか、大して使えないから大使なのだろう。
 
8.全日本コーヒー公正取引協議会が創立20周年で記念式典開催。
 
  6月21日、総会のついでに歴代会長や常務理事を表彰、消費者庁長官が講演…
  で?だから?創立50周年には生きていない爺婆で日本のコーヒーを公正に…で?
 
9.「コーヒー鑑定士」新たに2名誕生。連合会検定事業で鑑定士計5名に。
 
  全日本コーヒー商工組合連合会主催のコーヒー検定制度は2003年より実施され、
  2009年に初の鑑定士が誕生、2012年で計5名に…だが、まだ講師の方が多い。
 
10.日本家庭用レギュラーコーヒー工業会が林家ペー・パー子夫妻を起用し
  『ラブドリ夫婦化プロジェクト』を実施
 
  6月18日開設の「林家ペー・パー子夫妻は、ベストペーパードリップ夫婦に認定され
  ちゃっていいのか!?」に対し、鳥目散帰山人は「いやいやナシでしょ!に1票!」。
  理由は「ドリップする時ハート型に注いでない」と「毎日ニュースペー☆パー365でコー
  ヒーの日を無視した」であった。このコンテンツは、紙のように軽く使い捨てられた…。
 
AJCAのコーヒー重大ニュースを、コーヒー重大過失ニュースと捉え、笑止な忘年とする。
 
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恥じめてのコーヒー

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2012 [2012年12月07日 23時00分]
吉川英治(1892-1962)曰く、「やさしい、むづかしい、どっちもほんとだ。然し、むづかしい道を踏んで踏んで踏みこえて、真に、むづかしさを苦悩した上で、初めて、───やさしい、を知った人でなければ、ほんものではない。」(『草思堂雑稿』1941年)…と。《(たぶん)世界でいちばんやさしいコーヒーの本》と謳うコーヒー本は、本物ではない?
   恥じめて
 
『はじめてのコーヒー』 (堀内隆志・庄野雄治:著/mille books:刊)
 
 《…アフリカのタンザニアとお隣のケニアは同じキリマンジャロの山麓
  にあるので、両国で採れた豆はキリマンジャロと呼ばれています。》 (p.13)
全日本コーヒー公正取引協議会による「レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約」(1991年認定/2008年改正)施行規則第3条(特定事項の表示基準)の(1)のウの別表2によれば、「キリマンジャロ」コーヒーとは「タンザニア産アラビカコーヒー豆をいう。但し、ブコバ地区でとれるアラビカコーヒーは含まない。」と定められている。『はじめてのコーヒー』は、公正競争規約に真っ向反して、ケニア産コーヒーまでも「キリマンジャロ」であると説く…初心者には酷な話であり、やさしくない。
 
 《お米は、どこそこの地域で作ったコシヒカリ、どこそこ産のあきたこまちなど、
  数え切れない種類がありますよね。(略)ブラジルは世界一のコーヒー豆
  の産地。広大な国なので、採れる地域によって味は違います。》 (p.15)
意味不明である。ブラジルの23分の1しかない国土面積の国の米を多様としておいて、コーヒーの味の違いの理由が、《広大な国なので》とは?…仮にもこの理屈に倣えば、「エルサルバドルは国土がブラジルの404分の1、日本の18分の1しかない狭小な国なので、コーヒーは国内のどこで採れても全く味に違いはありません」ということになる。実際には品種や精製を揃えて考えたとしても、エルサルバドル産コーヒーの地域間での味の差は、ブラジルのセラード産内の差よりもはるかに大きい。誤った説明である。
 
 《ストレートというのは…(略)基本は同じ農園で採れた豆を焙煎したもの
  ですが、流通の過程で複数の農園の豆が混ざる場合もあります。》 (p.16)
いつから「ストレート」が基本的に単一農園産を示すことになったのだろうか? 笑止だ。流通上の実態は、《混ざる場合もあります》どころではなく、《ストレートというのは、同じ生産国内で数十から数千の農家の豆が混ざるものが基本です》、と説明すべきだ。
 
 《茶道のような、「コーヒー道」なんてないので。》 (p.27)
そう想い込みたいのは著者の勝手ではあるが、獅子文六(『可否道』著者)・田中祥介(「珈琲道」マスター)・成田専蔵(珈琲点前の首座)・藤岡弘、(珈琲道の実践)各氏に面と向かっても吐ける言葉であろうか? 無礼であろう。また、コーヒーセレモニーなどの風習や歴史を否定するような言は、非礼であろう。エチオピア人よ、一斉蜂起せよ!
 
 《私はペーパーハンドドリップのコーヒーの淹れ方教室をやらせていただく
  ことがあるのですが、その際におうちで使っている器具をお持ちいただく
  ようにお願いしています。そういえば、ハンドドリップの教室とお伝えして
  いるのに、サイフォンを持ってきた方もいました。》 (p.34)  
 《ほかにも、おうちで使っている道具というので、電気でお湯を沸かすポット
  をそのまま持ってきた方もいました。》 (p.36)
言いつかった通りに《おうちで使っている器具》としてサイフォンやポットを持っていくと、《ハンドドリップの教室とお伝えしているのに》などと非難がましく嘲る、如何なものか? 意を通ずる技量に不足していたのは誰であったか? 無辜のシロウトに、やさしくない。
 
 《…タカヒロというメーカーのポットを使っています。このポットは軽くて、
  本体から細いパイプが出ているので湯量がコントロールでき、とても
  使いやすいです》 (p.58)
間違いである。湯量を自在にコントロールしやすいドリップ用ポットは、カフェ・ド・ランブルやサザコーヒーのオリジナルポットのように注ぎ口が充分に根太で先端が鶴口になっているものである。細いパイプが出ているタカヒロ(やパールやカリタやメリタなど)のポットは、(元々細いとはいえ)同じ太さで流れ出る湯をスピードでしかコントロールできない。デザイン志向をすり替えた似非機能論(本書著者に限定する非難で無い)。
 
 《…基本的には常温で保存してください。(略)冷蔵庫の中は霜ができる
  くらい湿度が高いので、コーヒー豆が水分を吸ってしまいます。》 (p.65)
常温保存の提唱には賛同するが、《冷蔵庫の中は霜ができるくらい湿度が高い》などと誤った説明をすること、許し難い。(恒温高湿機能のある野菜室などを除いて)一般に、冷蔵庫内の湿度は部屋の湿度などよりも低い。霜ができるのは、庫内が高湿度だからでは無い。日常科学の初歩を誤るとは…初心者に酷な話であり、やさしくない。
 
本書『はじめてのコーヒー』が目標とするところは、《この本を読んだ後、缶コーヒーやインスタントコーヒーを飲んでいる方が、自分でコーヒーを淹れてみようと思ってくれたら嬉しいです。》(はじめに p.3)らしい。本書で繰り返される言葉は、《わかりやすく》や《簡単に》や《エンジョイ・コーヒー!》であるが、それは安易や安直と置き換えてもよい程に、誤謬や暴論も含まれていることは、上記で指摘した通りである。私はこう言おう、「コーヒーは、やさしい、むづかしい、どっちもほんとだ。然し、むづかしい道を踏んで踏んで踏みこえて、真に、むづかしさを苦悩した上で、初めて、やさしい。それを知るつもりがある人でなければ、缶コーヒーやインスタントコーヒーを飲んでいればよい」と。《世界でいちばんやさしいコーヒーの本》と謳うコーヒー本は、「恥じめてのコーヒー」だ。
 
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JCS喋喋記(2)

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2012 [2012年12月04日 23時00分]
ホセ・マルティ(José Julián Martí Pérez)の想いが通じたのか、2011年12月2日、ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)が発足した。同日、私の想い通じたのか、嶋中労氏と忘憂のモノを酌み交わした。あれから1年…コーヒー・レジスタンスは続く。
 
【2012年12月2日 喋喋2日目】
 
 
宿を出て、「カフェ・バッハ」へ。朝菓子1発目はモンブラン、おまかせコーヒーはマンデリン・ブルーバタック。続いて2発目はドイツ風りんごのタルト、おまかせコーヒーはエルサルバドル・パカマラ…‘「バッハ」はいつも1つはすべらない菓子を持っており、そしてそれは誰が何度食べても美味しいものである’…今日は2組共に見事、すべらんな~。呼んでいないのにママ(田口文子氏)に続いて田口護氏が登場、店を出て中川文彦氏がセミナー開催中のトレセンへ同道乱入。コーヒー産地やらドイツ菓子やらツール・ド・フランスやらを話題に田口さんと喋喋延延、あ~面白い。昼弁当を出されて食い逃げ。
 
 
「第31回 コーヒーサロン」(主催:東京大学 東洋文化研究所 池本研究室)
 
サロン喋喋記 (1) サロン喋喋記 (2) サロン喋喋記 (3)
今般は“手焙煎:「こつ」の科学”のテーマで石脇智広氏を迎え、コーヒー手焙煎実習。会場である「アカデミー向丘」の3F実習室に入ると…座席が足りないほど満員御礼? 「人数多いから焙煎は交替で。手網一筋ウン十年の方は遠慮して、初心者優先で」…ハイハイ見るだけにします(笑)。石脇さんの手網指導は、アルミホイルを下面に巻くスタイル…うーん無い方が焼きやすいと思うがなぁ(内心)。オーブントースター焙煎に菜種油による素揚げ焙煎(オイルロースト)を紹介し実践してみせるところはサスガ!
サロン喋喋記 (4) サロン喋喋記 (5) サロン喋喋記 (6)
焙煎された豆は、火力も技量も不足と不安定なのでムラ焼け生焼け…試飲も遠慮だ。特にオイルローストは、熱伝達の効率と安定が魅力で短時間(数分以内)に美しく焼き上がるハズだったが、火力不足で上手く揚がらず残念。全体を通して私自身には新たに学ぶべき内容は無かったが、主催の池本幸生氏やホセ(川島良彰氏)と話し、各務原のコーヒーサロン以来で再会したAlphaT7M2氏とも歓談、楽しき時間だった。
 
 
サロン喋喋記 (7) サロン喋喋記
コーヒーサロン散会後、コーヒーでも飲もうとAlphaT7M2さんを誘い「大坊珈琲店」へ。昨日のJCSでも会った大坊勝次氏が本日は店に不在、それは承知でも飲みたいナ。カウンターの端に陣取り、ブレンドNo.1を喫しながら、珈琲屋やら珈琲愛好家やらの風聞浮評(?)をAlphaT7M2さんと語らう、傍から見れば嫌な2人客だ(笑)、喋喋延延。AlphaT7M2さんと別れ、東京駅グランスタ「Drip Mania」でココアを飲んで帰路に着く。「チョコレート展」を観て「JCS年次集会」に参じて「コーヒーサロン」を覘いた在京2日間、珈琲人と喋喋でも、人生が「チョコレートの箱」のようなのか、そうでないのか、不明だ…それはコーヒーにしても同様か、新幹線の中でシウマイ弁当を食べながら呟いていた。
 
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JCS喋喋記(1)

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2012 [2012年12月03日 23時00分]
映画『フォレスト・ガンプ/一期一会』(Forrest Gump/1994年)において主人公が多量に摂取した飲料Dr Pepper(ドクターペッパー)。そのドクターペッパーが最初に販売されたのは、日系ハワイコーヒー生産者の祖となる日本人がハワイへ移民した1885(明治18)年、USPTO(アメリカ特許商標局)の記録によれば同年の12月1日である。その127年後の2012年12月1日朝、東京へ向かう新幹線の中で、人生が‘a box of chocolates.’(映画)のようか、‘no box of chocolates.’(原作小説)であるのか、フォレスト・ガンプ同様のバカ(gump/idiot)な私には不明、と呟いていた。
 
【2012年12月1日 喋喋1日目】
 
 
「チョコレート展」(国立科学博物館:特別展“Chocolate The Exhibition”)
JCS喋喋記 (1) JCS喋喋記 (2) JCS喋喋記 (3) JCS喋喋記 (4)
カハク開館を待つ間に、エキュート上野の「UP CAFE」へ。店内オペレーション劣悪、皿にこぼれ流れたパンダココアを渡されて、「がーんだな…出鼻をくじかれた」(?)。
JCS喋喋記 (5) JCS喋喋記 (6) JCS喋喋記 (7) JCS喋喋記 (8)
黄葉が美しい公園を歩き、「チョコレート展」を観る。スシャールを抱えたクラフトフーヅがカネを出してフィールド博物館(シカゴ)が作成し、2002年から10年間に渡りUSA各地を巡回した展覧会“Chocolate Around the World”、これを基にした日本版だ。カカオの植物学的な説明が比較的新しい、協賛団体の日本チョコレート・ココア協会(Webページ)ですら旧態であるのに、「チョコレート展」なかなかヤルな。歴史的遺物の展示が粗雑な複製ばかりであるのは興醒めだが、総じて展示する切り口も見せ方もカハク臭さが良く出ていて好ましい。最後のクイズは易い「チョコレート博士じゃ!」。
JCS喋喋記 (9) JCS喋喋記 (10) JCS喋喋記 (11)
館内食堂‘MOUSEION’窓席で恐竜骨格展示を見下ろし記念メニュー(鶏肉のグラッセチョコレートソース他)昼食。甘いテーマでも展示は甘くない「チョコレート展」に満足。
 
 
「日本コーヒー文化学会(JCS) 第19回年次集会」
 
JCS喋喋記 (12)
「泉谷希光名誉会長を偲ぶ」…生前TV出演動画を映し、お歴々の雑駁な弔辞が続く。嗚呼、ロクに見舞わず酷薄な扱いをした学会、会員として没義道を恥じながら見聞く。
 
JCS喋喋記 (13) JCS喋喋記 (14)
講演Ⅰ 「VOCが運んだカップ&ソーサー」 麻生洋央氏
私が麻生珈琲店を訪ねたのは2000年12月8日、泉谷氏が会長で共立女子大学が会場の「JCS第7回記念集会」の前日であった。「里帰りカップ」コレクションの解説を麻生氏当人から受け、その前後にコーヒーと茶の談議で喋喋延延。道楽店主、おそるべし(笑)。帰りがけ渡された聞香杯・茶杯・双杯托の白磁セット、今も私の愛用品。今般は12年振りに聴く麻生節、今2012年10月18日に遂げたばかりの1659年製(?)のカップ入手話、コーヒーカップと思いきやチャンバーポット(?)話、面白かった。
 
JCS喋喋記 (15)
報告 「韓国でコーヒーを楽しむ会を開催して」 田原照淳氏
2012年11月1日に田原氏が森光宗男氏・圓尾修三氏・廣瀬幸雄氏らと釜山で開催した「コーヒーを楽しむ会」に関する情感報告。韓国のコーヒー界は熱い…冷めて聞く。
 
講演Ⅱ 「東インド会社と希少コーヒーとコピルアック」 上吉原和典氏
大航海時代の東インド会社を絡め、セントヘレナとニューカレドニアとインドネシア他の希少コーヒーを上吉原氏が紹介。…とは言え、歴史的な連関や整合よりも、アタカ通商取扱いのいわば「こんな高く売れるコーヒーがあったんだ!」優先のシリーズ話。後半は、ルアク以外にもポッサム(東ティモール)・ジャクー(ブラジル)・ムルシエラゴ(コスタリカ)とクソッタレなコーヒーのオンパレード。豆か話か、いずれがキワモノか?
 
分科会 「コーヒーの『基礎技術の枠組』について考える」 焙煎抽出委員会
今般は山内秀文氏(委員長)当人の「日本のコーヒーのテロワール(地域特性)の確認の必要性」提言が主。私も歴史観で応答意見。別に、コーヒーの‘テロワール’や‘グローバリズム’や‘スペシャルティ’自体がバズワードでしかない状況で、フレームワークを考えることは容易でない、と内心。それより周囲は話についてきているか?
 
 
JCS散会後、蕎麦でも手繰ろうと山内さんに誘われ四谷の「蕎麦善」へ向かう、だが店は無くなっていた(2012年4月末閉店)、残念。近くの「嘉賓」でワインと広東料理を摂りながら、コーヒー談議で喋喋延延。互いの見解をすり合わせる充実の時間だ。大阪へ帰る山内さんと別れ、宿「新橋愛宕山東急イン」へ。チョコレートを黙黙と観て、コーヒーを黙黙と聴き、また延延と喋り…ドクターペッパーより複雑な味わいの一日。
 
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コーヒー潜流

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2012 [2012年11月27日 23時00分]
「コーヒー哲学序説」(『経済往来』第8巻第2号/1933年)の中で、寺田寅彦は語る。
  《宗教は往々人を酩酊させ官能と理性を麻痺させる点で酒に似ている。そうして、
   コーヒーの効果は官能を鋭敏にし洞察と認識を透明にする点でいくらか哲学に
   似ているとも考えられる。酒や宗教で人を殺すものは多いがコーヒーや哲学に
   酔うて犯罪をあえてするものはまれである。前者は信仰的主観的であるが、後
   者は懐疑的客観的だからかもしれない。》
寺田寅彦は、「客観のコーヒー主観の新酒哉(かな)」、とも詠んでいる。季は晩秋…
岐阜県美濃加茂市にある蔵元も新酒を蔵出す頃、その御代櫻にも程近い、太田宿
の面影残る小松屋(旧:旅籠・商家)にて「コーヒー講座」が開催されると…行かねば!
 
  珈琲潜流 (1)  珈琲潜流 (2) 
2012年11月25日、演題『世界のコーヒー あなたの珈琲』、講師「珈琲工房ひぐち
の樋口精一氏。今般は、「大八文庫」が主催する「大八講座」の一環で開かれた由。
  《古い昔から日本民族に固有な、五と七との音数律による詩形の一系統がある。
   (略)その線の途中から枝分かれをして連歌が生じ、それからまた枝が出て俳
   諧連句が生じた。発句すなわち今の俳句はやはり連歌時代からこれらの枝の
   節々を飾る花実のごときものであった。後に俳諧から分岐した雑俳の枝頭には
   川柳が芽を吹いた。》(寺田寅彦「俳諧の本質的概論」/『俳句講座』/1932年)
東野大八(1914-2001/本名:古藤義男)は、特定の会派に属さずにいわば柳界
の御意見番として、俳句より低く見られてきた川柳の地位向上に努めた人物である。
 
  珈琲潜流 (3)  珈琲潜流 (4)
コーヒーを「語り出したら止まらない」(講演者本人談)、講演前半は樋口さん独擅場。
中休み、「パナマでもゲイシャじゃないけれど…」と言いながら、ベスト・オブ・パナマの
レリダ農園のコーヒーを全聴講者に振る舞う「ひぐち」、相変わらずの太っ腹ぶり(笑)。
再開後半は(事前の予告通り?)私も前へ招かれ、カフェの歴史やら質疑応答やら。
モーニング、フェアトレード、オーガニック…多岐な問いに2人で即興答酬、面白いナ。
「西田佐知子の歌『コーヒー・ルンバ』の‘カマタリ’って何?」には、「モカ・マタリ」解説
に「ザ・ピーナッツ」と「モリエンド・カフェ」も加え応答、川柳人の納得は無言の潜流?
 
講座後に喫茶店「モーガン」に移り、主催者(古藤愛子氏・黒野こうき氏)・樋口夫妻
等に混じり反省会(?)談議。さらに、会場(小松屋)の東140mにある「コクウ珈琲
に独り戻り(実は講座直前にも寄って美味いイルガチェフェを飲んでいた)、ケニアを
喫しながら店主・篠田康雄氏と延々コーヒー談議。川柳には疎く遠い珈琲潜流の話?
 
  《一般絵画に対する漫画の位置は、文学に対する落語、俳句に対する川柳のそ
   れと似たところがないでもない。本質の上からはおそらく同じようなものであり得
   ると思われる。ただ落語や川柳には低級なあるいは卑猥な分子が多いように
   思われており、また実際そうであるのは、これらのものの作者が従来精神的素
   養の乏しい階級に属していたためにそうなったので、それは必ずしも必然な本
   質的な理由あっての事ではないという事は、ほとんど自明的な事と思われる。
   そうでなかったらユーモアーというものが美学の対象などになりようはない。(略)
   ただ落語や川柳にも前述のごとき意味の科学的要素を中心として発展し得べ
   き領域のある事をこの機会に注意しておきたいと思うのである。》
   (藪柑子=寺田寅彦「漫画と科学」/『電気と文芸』/1921年)
 
大八講座『世界のコーヒー あなたの珈琲』聴講&出演(?)、川柳と同様に珈琲にも
《科学的要素を中心として発展し得べき領域のある事をこの機会に》示すことができ
たのであれば幸いか…可否はともあれ勝手に珈琲を潜流して楽しい日を過ごした。
 
  「可否(カヒ)知らず ただ語るもか(モカ) また利(マタリ)あり」 帰山人
 
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クソッタレなコーヒー2

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2012 [2012年11月23日 06時00分]
クソッタレ! オレの名はプ~だ、「クマのプーさん」じゃあないゾ、「ルアクのプ~さん」だ。
 
   糞コーヒー (1)
 「世界で最も高価なコーヒー豆の生産現場で、ある動物が悲鳴を上げている」
 《(略)このコーヒーの生産現場は主にインドネシアだが、豆の生産を担うジャコ
  ウネコたちの環境は鶏肉工場のニワトリのケージようだと、動物福祉団体が
  強く警告を発した。野生から捕獲されたジャコウネコは小さな檻に入れられ、
  新たに生まれた家族とも引き離され、無理やりコーヒーの実を与えられ続け
  る。何万ものジャコウネコが、過酷な環境にあると伝えられた。(略)「人々に、
  生産現場が実際どのような状況なのかを知って欲しい。その上でコーヒーを
  飲む気になるだろうか」と語るのは、Traffic south-east AsiaというNGO
  団体地区副本部長のクリス・シェパード氏だ。だが、このコーヒー豆を生産す
  ることで生活の糧を得ている人が存在するのは事実だ。動物保護を優先すれ
  ば、コーヒー豆の値段はさらに跳ね上がるに違いない。結局、物言わぬ動物
  にしわ寄せがいくことになるのだろう。》 (IRORIOイロリオ 2012年11月22日)
 
クソッタレ! 何だ? この胸クソが悪い記事は。オレたちルアクを“ケンタッキーの東”と一緒にするな。ニワトリどもはニンゲンに食われるが、オレたちの場合は…ニンゲンに「糞喰らえ」ってなもんだ。コピ・ルアク(Kopi Luwak)やカペ・アラミド(Kape Alamid)の他にもモンキーコーヒーとかジャクーコーヒーとか、ニンゲンはクソッタレなコーヒーをよっぽど好むらしいな。猿智恵が売って、鳥頭が買う、どっちも救われない糞たわけだ。
 
   糞コーヒー (2)   糞コーヒー (3)
 「ゾウのふんから集めた超高級コーヒー豆、タイのホテルが発売」
 《(略)「ブラック・アイボリー(Black Ivory)」と名付けられた新ブレンドは、ゾウ
  が消化して排せつしたコーヒー豆を使用しており、なめらかな口当たりと強い
  香りが特徴とされている。(略)「研究の結果、コーヒーに含まれるたんぱく質
  がゾウの消化酵素により分解されることが分かっています。たんぱく質はコー
  ヒーの苦味の主な原因の1つとされているので、これが減ることにより苦味が
  ほとんどなくなります」ゾウの体から排出されたコーヒー豆は、ゾウ使いによっ
  てふんの中から回収され、日干しされる。製造場所はアナンタラがタイ北部に
  持つゾウ保護センターで、ここには30頭のゾウがゾウ使いとその家族と共に
  暮らしているという。》 (AFP/2012年10月26日)
 
クソッタレ! 何だ? このけったクソ悪い記事は。“象がふんでもこわれない!”筆入よりも強いニンゲンの欲求は“象のふんでもこわれない”らしいな、「糞喰らえ」ってなもんだ。オレたちルアクを憐れむ声もあれば、バカ高ゾウ糞コーヒーがゾウの保護に役立つと讃辞を呈する声もあるようで、まさに「衆盲象を模す」、どっちも救われない糞たわけだ。
 
   糞コーヒー (4) 
クソッタレ! オレ「ルアクのプ~さん」は、《食べる豆は全て「スペシャリティコーヒー」に認定された最高級ランクのアラビカ種・ロブスタ種を分けて与え》られている環境に住んでいるゾ。オレはルアク社会でも仲間に一目置かれるほど、コーヒーチェリーの味にはうるさい。ニンゲンで言うところのQグレーダーのスーパースターだな。プ~さんの手に、いや口に、いや尻にかかれば、いずれはゲイシャ100%の、そしてポワントゥ100%のコピ・ルアクを放(ひ)り出してやれるがな…もっとも、ニンゲンがいくらで売り買いしようが、ルアクには糞の役にも立たない、「糞喰らえ」ってなもんだ。コーヒーは…クソッタレ!
 
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珈琲屋の非と否と

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2012 [2012年11月17日 23時00分]
池永陽の連作短編集『珈琲屋の人々』(初出:雑誌「小説推理」2006年7月号~2008年
9月号の奇数月号に7短編を14回掲載/単行本:2009年1月発行/双葉社:刊)が、今
2012年秋に双葉文庫になった。初読、なかなか味わい深くも考えさせられる本であった。
   非と否と
 
 《東京は下町の商店街にある『珈琲屋』。主人の行介はかつて、ある理由から人を殺し
  ていた……。心に傷を負った人間たちが、『珈琲屋』で語る様々なドラマを七編収録。
  情感溢れる筆致が冴える連作集。読み終えると、あなたはきっと熱いコーヒーが飲み
  たくなる。》 (双葉社Webサイト:本の紹介)
 
物語の舞台は、無論、架空の店ではあるが、かなりの「スペシャルティ」コーヒー屋である。
屋号自体が「珈琲屋」、ユニークな屋号である。‘iタウンページ’で「珈琲屋」を検索すると、
北海道1店・福島県1店・神奈川県2店・新潟県1店・愛知県3店・岐阜県1店・大阪府1店・
兵庫県1店・岡山県1店・広島県1店・宮崎県1店の計14店(2012年11月17日現在)と
数少ない。飾り気の無い屋号は、主人公の宗田行介が人を殺した前科者であることにも
著者が配慮したのかもしれないが、「珈琲屋」の名乗りは運営の実態とも全く矛盾が無い。
『珈琲屋の人々』の中で「珈琲屋」店主・宗田行介が飲料を供した描写を拾うと、計14人
の登場人物が計45杯の飲料を喫している(水は除く)。その全ては、アルコールランプが
熱源のサイフォン式抽出器具による特製ブレンドコーヒーである。客が高校2年のJKで
あろうが69歳の爺であろうが、一切躊躇無くサイフォン淹ての熱い特製ブレンドコーヒー
一本で推し通す…殺人者・宗田行介こそ真の「コーヒーの鬼」である、とでも言いたいか?
屋号も飲料も一見は古臭くあっても、ここまで純一無雑に通俗を極めていれば、それは
「非・コモディティ」に昇華するユニークネス、これこそ「スペシャルティ」コーヒー屋である。
 
   非と否と (1)
 《…突然行介の頭にある言葉が浮んだ。あのとき冬子と一緒に観に行った映画の題名
  だ。(略)「あれは確か『恋人までの距離』っていうアメリカ映画で、旅先で知り合った
  男女が恋に落ちる話だ。確かあの結末は――」…》 (『珈琲屋の人々』文庫p.317)
 
『恋人までの距離(ディスタンス)』(Before Sunrise/1995年)の舞台はウィーン、占い
師に遇う「クライネスカフェ」のテラス、電話掛け遊びで告白する「カフェ・シュペール」など、
これほどコーヒーに連関した映画を観ておきながら、「珈琲屋」店主の宗田行介はそれを
長らく失念していて想起できなかった。コーヒー愛好家としては完全に失格であり、真の
「コーヒーの鬼」などではなくて「コーヒーの殺人鬼」と呼ぶに相応しい為体(ていたらく)だ。
女に思い入れるほどにはコーヒーに思い入れが無い徴証、宗田行介が淹れるコーヒー
など高が知れているシロモノであろう、それを1杯450円で出して客に《うんと上等のコー
ヒー》と思わせているのだから始末が悪い、これこそ「スペシャルティ」コーヒー屋である。
 
 《冬子はやけに明るい声を出した。「この前の映画の結末。再会を約束して二人は別
  れることになるんだけど、私はやっぱり、あのあとにまたドラマが始まるような気がす
  るな。人生って、ずっとずっとつづくんだから」》 (『珈琲屋の人々』文庫p.327)
 
物語の最後に勿体ぶって語らせて締めなくとも、現に『恋人までの距離』には『ビフォア・
サンセット』(Before Sunset/2004年)という続編がある。さらに、その続編『ビフォア・
ミッドナイト(仮題)』(Before Midnight)も、2012年9月4日にクランクアップしたらしい。
非凡なコーヒー屋として味わい深いが、淹れられたコーヒーは味わい悪そうで飲むことを
拒否したい「珈琲屋」の物語も、雑誌「小説推理」2011年4月号~2012年11月号の間
に「続・珈琲屋の人々」として14回掲載された。映画と同様に『珈琲屋の人々』も《ずっと
ずっとつづく》のだろうか?初読した『珈琲屋の人々』では《読み終えると、あなたはきっと
熱いコーヒーが飲みたくなる》こと無く、「珈琲屋の人々」というよりも「珈琲屋の非と否と」
とでも言うべきコーヒー小説と感受しながら、適温の旨いコーヒーを自分で淹れて飲んだ。
 
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kisanjin

Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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