ぶたんべ珈琲に遊ぶ

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2017 [2017年11月21日 05時00分]
【遊ぶ前に焼く】
 ぶたんべ珈琲に遊ぶ (1)
2017年11月14日、雨降る朝に実父が危篤という報せを受けた。「困ったな。週末に東京の集会で私がコーヒーを供する約束。だが、まだ焙煎していない」と独り呟く。実父が死亡という報せを受けた同日の夕、雨が止んだ。「では、親父を焼く前に珈琲を焼かねば」と独り呟きながら、生豆を取り出して自宅の台所で焙煎した。そのコーヒー豆と道具を持ったまま、翌朝から故郷へ。通夜が明けた朝、「では、親父を焼く前に珈琲を淹れねば」と独り呟きながら、焼き豆を取り出して葬儀場の台所で抽出した。一杯は実父にも供したが、遺体はコーヒーを飲まなかった。こうして葬儀における一連の礼式は、慌ただしく進んでいった。〔私自身は不信心無宗教である〕
 
【ぶたんべ珈琲に遊ぶ】
 ぶたんべ珈琲に遊ぶ (2) ぶたんべ珈琲に遊ぶ (3)
2017年11月18日、「親父も珈琲も焼いた、これでいいのだ」と独り呟きながら、雨降る朝に実家を発って東京へ。池袋西口公園で煙草を喫していると、雨が止んだ。『珈琲の世界史』の出版を記念してTwitter(ツイッター)上で繋がった者が集う催事、その会場となるMace(メイス)池袋へ入る。主催者である「ぶたやまかあさんの質問箱」スタッフや講師である旦部さんも到着、菓子とコーヒーを試し味わいながら催事の準備を進める。来場した参加者にぶたやまかあさんら手作りの菓子ブールドネージュと私が淹れた珈琲ヤンニハラールが配られて、集会「わいたんべさん、珈琲の話、聞かせてください」(Twitterのハッシュタグ「#ぶたんべ珈琲」)が始まった。
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「ぶたんべ珈琲」集会は、講演タイム(第1部)・質問タイム(第2部)・コーヒータイム(第3部)と予定されたが、見事なスライド芸で魅せる旦部さん、即妙に応ずるぶたやまかあさん、面白くも鋭い質問をあげる参加者、熱気溢れる催しに2時間半は短くて進行は押しっぱなし。この間、休憩時間に私が淹れたカスカラティーが配られ、コーヒータイムには菓子盛り合わせ(ガトーショコラ/シュトレン/ヨーグルトケーキ)と2杯目の珈琲(ブラジル・メキシコ・スマトラ・ブルンジの深煎りブレンド)が供された。〔催事の関係者の皆さまに感謝します。特に、招じられた私の好き放題を許されたぶたやまかあさん、私のコーヒーメニューに合わせて講演を進められた旦部さん、客なのに手伝っていただけたコクウ珈琲の篠田康雄さんに深謝いたします〕
 ぶたんべ珈琲に遊ぶ (5) ぶたんべ珈琲に遊ぶ (6)
「ぶたんべ珈琲」集会も終盤、私にまで質疑をぶつける参加者もいて応答しながらコーヒー道具を片付ける。Mace池袋での催事を終えて、近くのマレーチャンでの二次会でマレーシア料理をたらふく食べながら談話、はなの舞での三次会で焼酎を飲みながら談話、好い時間を過ごして無事に終了、解散。旦部さんとコーヒー談議を続けながら、山谷の宿へ向かう。こうして「ぶたんべ珈琲」に遊んだ一日、楽しき時を過ごした。
 
【遊んだ後も遊ぶ】
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2017年11月19日、冬晴れの朝に宿を出て隣のカフェ・バッハへ。新聞を読みながらマラウィを飲んで憩っていると旦部さんが来店、岡崎俊彦氏(大和鉄工所)らにも遇い、バタートーストを食べながらコーヒー談議。岡崎さんらが去った後にはマスター(田口護氏)と談話、マスターが去った後に旦部さんとモンブランを食べてコロンビアを飲み、さらにママ(田口文子氏)と談話。「前日はぶたんべ珈琲だったが今日はたぐたん珈琲だったな」と思いながら、カフェ・バッハを出る。こうして旦部さんと上野で別れるまで淹れて飲んで聴いて談ずるコーヒー遊びを続けて、夕に実家へ戻った。
2017年11月20日、冬晴れの昼過ぎに実母を伴って藤枝市のコーヒーの苑へ。淹れてもらった東ティモールを喫しながら、父の死を報せて中山夫妻と談議。夕に実家を発って自宅へ帰った。こうして「ぶたんべ珈琲」の前にも当にも後にも、誰が死んでも何処へ行っても、私はコーヒーに遊んだ。
 
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半分青い秋フル

ジャンル:スポーツ / テーマ:ジョギング・ランニング / カテゴリ:走の記:大会編 [2017年11月13日 23時30分]
10月上旬、日本コーヒー文化学会(JCS)の焙煎抽出委員会による分科会催事の案内が山内秀文委員長から届いた。“All About Coffee”を再び翻訳した山内さんが提起する課題に惹かれた。けれども、「いびがわマラソン」の日と重なっていた。2日間迷った。どの道もうフルマラソンを完走する力はない。分科会はDNSの口実にもなる。…だが、催事への参加は断った。走りきれなくても走りには行こう。秋降る揖斐川の景色と町民の応援、そして走友が待っている。11年連続参加、「いびがわ」に…私は帰ってきた!
 
2017年11月12日
『いびがわマラソン 2017』 フル
 
半分青い秋フル (1) 半分青い秋フル (2) 半分青い秋フル (3) 半分青い秋フル (4)
新設された池田総合グランド駐車場でシャトルバスに乗り換えて会場入り。友人MとK谷さんと合流し、身支度と荷預けしながら喋り続け。天高く晴れて、気温は前年大会より摂氏2度ほど低い、DNF覚悟のファンランに絶好だ。15分早くなった号砲で、スタート! 30回記念大会だから(?)大渋滞、歩き進めば友人Mに追いついて談走。沿道の児童に手を振り、ハンドタッチをしながら進む。揖斐川の水面はやや濁り気味だが、景色も気分も上々。5km地点を38分17秒で通過。
 
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ほのぼの太鼓の園児が打つ音に励まされて進む。水面煌めく西平ダム湖を眺めながら走る。ニューリバースの演奏に励まされて進む。…ん? 前年大会の8日後に死んだ応援犬タローの代わりにぬいぐるみ犬コタロー! 友人Mと映画話やら珈琲話やら喋り続けて進む、走だ、これがやりたかったんだ!
 
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だが、揖斐川大橋を渡る頃から急速に息が苦しくなり足が重くなる。もう限界? 覚悟はしていたが早いなぁ。10km地点を1時間11分で通過。友人Mへ先行を促せば、あっという間に背が遠のいていく。補修工事が終わっている恋のつり橋へ下りて遊び撮り。久瀬橋手前のエイドで塩と芍薬甘草湯を投入するが、走り始めた途端にクランプの兆候。覚悟はしていたが早いなぁ。
 
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神山隧道を潜って、水面煌めく久瀬ダム湖を眺めながら走る。と、左の腓腹筋にクランプ発作で3分停止(どうも、この間に後続のK谷さんに追い抜かれたようだが気付かず)。15km地点を1時間48分19秒で通過。と、右腓腹筋にも両内転筋にもクランプ、もうダメかぁ…いや、行けるところまで行こう。18km手前でK瀬さんをみつけて全30回出場祝のゼッケンを見せてもらう。ほぼ歩きながら、川上で折り返してきた選手を見下ろしながら最高地点へ進む。
 
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イビデン東横山発電所の導水管を見上げる。第2関門の20km地点を制限4分前の2時間36分6秒で通過。おばば太鼓の音が聴こえて励まされるものの、クランプが頻発して100mごとに停止。澄んだ青い空を見上げて予定通りに中間点を自分のフィニッシュと決める。
 
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2時間48分45秒で中間点を踏み、本藤橋で風に吹かれながら揖斐川と山の美観を眺める、走だ、これがやりたかったんだ! ここからはオマケの散歩。走者も疎らな夕日谷エイドで餡パンとレモンとチョコと梅をたっぷり食べ、小用を済ませて再始動。
 
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回収車を背にして、最後尾の走者を励ましながら歩き進む。揖斐川を見下ろし山を見渡す。川の水面に映る山肌の紅葉は控え気味で燃え立つ程には赤くない、むしろ半分青い…今の私の走力と同じ? 25km地点を3時間33分22秒で通過。27km手前でいび茶を飲んで満悦。久瀬ダムの景色を観ながら、散歩の時間も終えることを決める。次の救護所でDNFを宣言して、計測タグを外す。
 
タイム 記録無し(28.7km付近の約4時間18分経過でDNF)
 
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回収バスを乗り継いで会場へ戻る。荷を受け着替えて喫煙休憩しながら走友を待つ。完走した友人MとK谷さんと合流して、私持参のコーヒーと友人M夫妻持参の菓子で談話。シャトルバスの最終時間が迫って解散。走りは予想通りに半端に終わり、紅いもみぢの完走メダルを受けられなかった。「いびがわ」の秋空はフルに青く晴れていたが、慊焉(けんえん)たる私の心は半分青い、つまり半分青い秋フル…そう笑いながら帰途についた。
 
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カフィは糾える縄の如し

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2017 [2017年11月11日 01時00分]
「だれにでも、どこにでも、カフェはある。」という惹句が、コミックスの腰巻(帯)にあった。…そうかなぁ、ヌエルやロヒンギャにカフェなんかないだろうし、アチャマル村マヤタリ村にカフェがあるとも思えないし。なんだかなぁ…。けれども、新保信長が南信長名義で《あまりの巧みさに唸った》と言い、いしかわじゅんが《巧みな構成》と評し、中条省平が《完成度は非常な高さ》と述べている。
 カフィは糾える縄の如し (1)
 
 《一読して、あまりの巧みさに唸った。おしゃれなカフェの3組の客を、それぞ
  れの視点で描いた連作に始まり、全16編収録のオムニバス。(略) シン
  プルな線で描かれる豊かな表情やしぐさ、自在なカメラワーク、過不足の
  ない背景、的確な小道具と擬音、光と影の濃淡を生かした画面処理など、
  作画も圧巻。》 (南信長 「鮮やかに切り取る日常のひとコマ」/『朝日新
  聞』 2017年10月8日)
 
 《構成力があるので、小さなエピソードから印象的な物語を立ち上がらせる
  のだが、このエピソードとこのエピソードを組み合わせるとこうなる、という
  作為がやや目立ちすぎる嫌いもある。それなのに、漫画を描く楽しさのよ
  うなものが溢れていて、その匂いを消しているのだ。(略) ああ、この展開
  でそこに収めたか、と膝を打つ気持ちよさは癖になる。読む側の期待に
  応えたり裏切ったり、そのへんの加減が非常にいいのだ。 絵柄と作風も、
  2年の間にかなり変った。高野文子の影響が非常に大きくなり、その後少
  し離れていった。最終話のあたりでは、普通の漫画になりすぎではないか
  と思うくらいだ。》 (いしかわじゅん 「巧みな構成で読ませるコーヒー譚」/
  『週刊文春』10月26日号 「漫画の時間」 2017年10月19日)
 
 《たぶんこれが初めての単行本(つまり、いわゆる処女作)ですが、その完成
  度は非常な高さに達しています。(略) かつてロバート・アルトマン監督が
  得意とした同時多発的群像ドラマという作劇法にも似ているのですが、ア
  ルトマンほど緊密でないというか、切羽詰まった作りになっていません。そ
  の絶妙のゆるさこそ、この作者の尊重すべき個性というべきでしょう。》
  (中条省平 「人間をちょっとだけゆるくしてくれるコーヒーや喫茶店にまつ
  わる絶妙な短編ドラマの連鎖!」/Webサイト『幻冬舎plus』 「マンガ停
  留所」 2017年11月4日)
 
 カフィは糾える縄の如し (2)
こうまで言われると、もう読むしかないだろう。月刊漫画雑誌『officeYOU』(オフィスユー)掲載の短編漫画を単行本にした『カフェでカフィを』(ヨコイエミ:著/集英社クリエイティブ:刊)である。読んでみた。「タラコ女」・「クレオパトラの眉毛」・「こづかい帳」という《おしゃれなカフェの3組の客を、それぞれの視点で描いた連作》は、《同時多発的群像ドラマ》として豊田徹也の『珈琲時間』(講談社:刊)を凌いでいる。「ミス・ベンダーの旅」は マキヒロチの『旅する缶コーヒー』(実業之日本社:刊)と異なり本当に缶コーヒーが旅をしていて見事。各話ごとにみれば描線の変化に合わせて《光と影の濃淡を生かした画面処理》に工夫があるし、連作としてみれば単に人物を重ねて登場させるだけではない《ああ、この展開でそこに収めたか、と膝を打つ》ところもある。
 カフィは糾える縄の如し (3)
『カフェでカフィを』がコーヒー漫画としても駄作でないことは喜ばしいが、《あまりの巧みさに唸った》かと問われれば私は違う。《絵柄と作風も、2年の間にかなり変った》ところに唖然とさせられたし、その《緊密でないというか》一貫性がないところにコミックスとして《完成度は非常な高さに達し》ているとは思えない。《物語を立ち上がらせる》作劇よりも表現手段としての作画に《作為がやや目立ちすぎる》、と私は捉える。《高野文子の影響が非常に大きくなり、その後少し離れていった》作画として、浮かんだ着想を漫画としてどう見せるかという作者の力みが《切羽詰まった作り》に感じられて痛痛しい。これは《作者の尊重すべき個性》なのか、それとも私が穿ち過ぎなのか? 「カフェでカフィを」シリーズは『officeYOU』で掲載が続いているようなので、コミックスとして続刊が出るのを待って《短編ドラマの連鎖》の具合を追ってみようとは思う。
 
「だれにでも、どこにでも、カフェはある。」…そうかなぁ、《人間をちょっとだけゆるくしてくれるコーヒーや喫茶店》が誰にでも何処にでもあって欲しいと庶幾するのは勝手だが、カフェも漫画も禍福が相まって続いたり続かなかったりするように、私にとって‘カフィ’は糾(あざな)える縄の如(ごと)し。なんだかなぁ…。
 
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モーニングうねうね

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2017 [2017年11月06日 01時00分]
喫茶店のモーニングサービス、いわゆる「モーニング」については、発祥も実態も‘うねうね’していてよくわからない。わからないままに2007年に始まった「モー博」(一宮モーニング博覧会)は、10年が経った。20年が過ぎた「モー娘」は、「モーニング」を正しく捉えているつんくによって1997年に作られた。
 モーニングうねうね
 《気軽に朝のセットやねんて、気持ちは…トーストとコーヒーとゆで卵とサラダ
  と付いたんねん…モーニングサービス、モーニングファイブ、モーニングむ
  すめ…朝はコーヒーだけ飲みたいねんけど卵もついてくんねんて、トースト
  もピーナツバターもサラダも付いてくんねん、逆に言うたらトースト食べたく
  ってもコーヒー付いてくんねん、もうしゃあないんや、これ…モーニング娘。
  大決定や》 (つんく:談/TV番組「ASAYAN」 テレビ東京系 1997年
  9月14日放送)
 
「20年目のモーニングコーヒー ~モーニング娘。20th ANNIVERSARY CAFE~」が期間限定で開店した2017年11月3日、意味不明の「モーニング」話がJタウンネットから発信された。
 
 《朝の時間帯に限り、喫茶店でドリンク1杯の値段でトーストやゆで卵、場合
  によっては他のメニューまで食べられる「モーニング」は、愛知県で育まれ
  た独特の文化だ。(略) ならば、最もオーソドックスな「ドリンク+トースト+
  ゆで卵」の組み合わせのモーニングに出せる平均額とはどれくらいなのだ
  ろうか?》 (Jタウン研究所 都道府県別投票/Webサイト『Jタウンネット』
  2017年10月23日)
 モーニングうねうね (1)
 《全国平均は387円(以下、小数点以下四捨五入)。おひざ元の愛知県が
  390円だったことから、地元と全国的な価格イメージに、あまり大きな差
  がないことがわかる。今回の選択肢は、100円から1000円まで幅を持
  たせたが、平均価格の最高は佐賀県と沖縄県の500円、最低は鳥取県
  の280円と、おおむね300、400円台に票が集まった。》 (Jタウン研究
  所 結果「平均価格は全国&愛知、どちらもほぼ同じ」/Webサイト『Jタ
  ウンネット』 2017年11月23日)
 モーニングうねうね (2)
以前に触れたサービス産業生産性協議会によるカフェ業界のJCSI調査も酷かったが、このJタウン研究所による調査結果も極めて低劣である。総得票数1783のうち、《モーニングに出せる平均額》の最高県とされた佐賀が1票で沖縄が2票、最低県とされた鳥取が5票と、まるで調査の態を成していない。総数の7割近く(1222票)を占める東京都の平均額は389円であり、5%弱(84票)の愛知県の387円と大差ない。結果は「平均価格は全国&愛知、どちらもほぼ同じ」ではなくて「モーニングに出せる平均額は東京も愛知もほぼ同じ」とするのがせいぜいであり、都道府県別の票数を結果で明示しない統計が卑劣であることは間違いない。‘うねうね’していて気持ちが悪い。
 
 《祖父母は朝、よく近所のキッチャ店へ僕を連れて行きました。キッチャ店と
  はサテンです。サテンとはツルツル光沢のある布だがや、という面倒な人
  は放っておき、早く言えば地元の珈琲屋、ジモティー喫茶のことです。(略)
  で、近所の、今はもうない喫茶スワローですが、鈴つきのドアを入ると、あ
  のキッチャ店特有の匂い。煙草の煙。年寄りたちの挨拶。そして長話。
  (略) 祖父母のコーヒーが来ると、それについてくる半切りトーストと、豆と
  ゆで卵は全部僕のもの。祖母は銀のシュガーポットから首の曲がった丸
  いスプーンで白い砂糖を入れ、僕のトーストの上にもかけてくれたりしまし
  た。 僕は、緑のソーダ水を凄いバキューム音で飲み干すと、もう手持ち
  無沙汰。それを見た祖父は、おもむろに灰皿で煙草をもみ消し、その中
  へストローの包装紙、それは破る際、蛇腹状に手繰って縮めたものです
  が、を入れ、ストローにお冷の水を含ませます。 何をするのか、僕はとう
  に知っているのですが、祖父は笑って蛇腹に水をかけ「うねうねへびへび、
  うねうねへびへび」とおどけ、僕が歓声を上げ…。僕らの昔の、キッチャ店
  のはなしです。》 (諏訪哲史のスットン経 「キッチャ店のはなし」/『中日
  新聞』 2016年11月4日)
 モーニングうねうね (3)
この「キッチャ店のはなし」は「モーニング」の話でもあり、諏訪哲史は喫茶店(キッチャ店)のモーニングサービスを実に正しく捉えている。いや、捉えているというよりも体感していたというべきか? 《特有の匂い。煙草の煙。年寄りたちの挨拶。そして長話》などの実態あってこその喫茶店でありモーニングなのであって、逆に言えば、名古屋だろうが一宮だろうが豊橋だろうが東海地区だろうが日本のどこだろうが、そうした実態がなければ真の「モーニング」として《うねうねへびへび》に《歓声を上げ》られない。「モーニング」は発祥や分布が‘うねうね’していてよくわからないが、《もうしゃあないんや、これ》。そして、その実態や体感は‘うねうね’していて面白い。
 
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日和見よたび

ジャンル:ライフ / テーマ:ひとりごと / カテゴリ:あ・論廻 [2017年11月04日 01時30分]
「文化の日」に岐阜県各務原市で催される「マーケット日和」、《入場無料で公園隣の大学祭とも合同開催ということもあり、毎年子ども連れのファミリー層や大学生~年配層まで多くの来場者で賑わいを見せている》(Web『LIVERARY』 2017年10月31日)。確かに露店も来場者も増えて、憩う場というよりも燥ぐ場になってきた。
 日和見よたび (1)
2017年11月3日、混雑必至の催事「マーケット日和」を秋の日和に見る私の旅も今回で四度(よたび)…行ってみよう!
 
 日和見よたび (2) 日和見よたび (3) 日和見よたび (4)
会場の周辺道路は大渋滞、予定より1時間近く遅れて中部学院大学に駐車。まずは、「珈琲工房ひぐち」出店ブースへ。今年は樋口周作氏が奥方と出店している。「セピアの宝石」(深煎りブレンド)を買って、歩き飲みしながら学びの森エリアへ。怖ろしいほど多くの出店と人出だが、空いた芝生に座って晴れた空を眺め憩う。「コクウ珈琲」出店ブースを覗けば繁忙…「じゃ、聴いてほしい講演会はオレが聴いてくるわ」(笑)。
 
シティカレッジ特別講演会「「学びの森」から描くまちの未来地図」
 日和見よたび (5)
会場は中部学院大学各務原キャンパス大講義室、定員300人の催事だが聴講したのは50人弱でスカスカ。各務原市役所広報課の廣瀬真一氏とかかみがはら暮らし委員会代表理事の長縄尚史氏によりマーケット日和や夏フェスOFTやKAKAMIGAHARA STANDの話、要はご当地プロモーション。その後、ゲストが登壇。(以下は私的メモ)
 日和見よたび (6)
山田高広(NPO岡崎まち育てセンター・りた/株式会社三河家守舎)
愛知県岡崎市のQURUWA・おとがわプロジェクト・リノベーションまちづくり 便利なのと豊かさとは違う ルールは疑うべき 社会実験で既成事実化する (公園の施設)行政が規制をつくるなら何もつくるな カネは得意な人が担う
 日和見よたび (7)
吉田有里(Minatomachi Art Table, Nagoya/港まちづくり協議会)
名古屋市港区のアッセンブリッジ・ナゴヤ アートなんかあってもまちは変わらない ボートピアの売上の1%がまちづくり協議会に入る 空き家をワークショップ形式で改修 カネは全く違うものを結びつけて使い方を考える
 
山田氏の話も吉田氏の話も具体例が面白かった。もっとも、私には‘まちの未来地図’までは見えてこない。だが、役人だろうが商人だろうが芸人だろうが「まちづくり」はプロモーターが牽引するものであり、ノリと勢いで自惚れる連中がプロモーターとして優秀とみなされることはわかった。何よりも「文化の日」らしい暇つぶしになった良い講演会であった。
 
 日和見よたび (8) 日和見よたび (9) 日和見よたび (10)
学びの森エリアへ戻れば「Accordy」や「手廻しおるがん かごやか」の音が聴こえてきて、そちらへフラフラ。コーヒー屋や雑貨屋の出店ブースを見巡るのもイイが、この「森の音楽隊」を聴いている時間はさらにイイ。さらに市民公園エリアへ。古本市を覘き巡ってから、前回は買い損ねた「コバレレコーヒー」出店ブースへ。「カレンダーラ」(ネパール)を飲みながら小林勝久氏と少談。
 
 日和見よたび (11) 日和見よたび (12) 日和見よたび (13)
出店数と催事内容を増やした市民公園エリアも怖ろしいほど多くの出店と人出だが、空いた芝生に座って晴れた空を眺め憩う。「コクウ珈琲」出店ブースへ戻って、今年も「イタリアンブレンド」を自分で淹れて飲む。篠田康雄氏・小川友美氏・伊藤千帆氏と喋りながらブースの撤収を手伝う(これも遊び)。日暮れてきた会場を後にして、帰途へ。喫して聴いて、秋の日和に四度(よたび)見た「マーケット日和」…面白かった!
 
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kisanjin

Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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